紫外線(C波)を血液に照射して、その血液を体内に戻す治療法です。オゾン療法と並ぶ酸化療法の一つです。
この治療法は人では 100年近く前から行われており、現在欧米では盛んに行われています。残念ながら日本では知名度が低く、この治療を行っている動物病院はまだほんのごく一部に過ぎませんが、治療機器がコンパクトで取り扱いが容易であり実施にそれほど手間がかからないので、往診先でも実施可能な点がメリットの1つです。
血液紫外線照射治療は、世界各国や学会、場面で様々な呼び方をされていますが、当院ではドイツで使われている用語を使用しています。
◎血液紫外線照射治療の作用:
この治療はオゾン療法と同じ酸化療法のひとつであり、その作用機序はほぼ同等と考えられますが、自家血を使うことから主に全身治療のみに対して行われます。
◎血液紫外線照射治療の作用機序:
現在は紫外線C波を血液に照射することで、活性酸素を発生しこれがセカンドメッセンジャーとなって各種疾患に対して改善に導くとされています。これはオゾン療法と比べて理屈は実質的にあまり変わりません。活性酸素種等の反応生成物を発生させる方法にオゾンを使うか、紫外線を使うかの違いです。
◎血液紫外線照射治療の方法:
血液紫外線照射治療は以下の3つの方法で行われています。
■ UVE(UV-aktivierte Eigenbluttherapie):
専用のシリンジの中に0.5-1mlの血液を採血し、そのシリンジを紫外線照射し、皮下または筋肉に注射する方法です。
■ UVB(UV-Bestrahlung des Bluts):
血管から直接引いた血液を紫外線照射機器の中を通し、再び体内に戻す方法で、100~120秒間紫外線を照射します。
■ HOT(Haemotogene Oxidationstherapie):
点滴ボトルに引いた血液を医療用酸素で酸素化し、泡状になった血液に紫外線を照射して体内に戻す方法です。
このうち当院で主に実施している方法はUVEです。
機器が小さくて軽いので往診でも治療が可能です。更にホモトキシコロジーなどの他の治療とも併用可能であるため、動物への応用範囲が更に広がることが期待できます。
ただしこの治療法も他の酸化療法と同様に、体質により実施できない場合がありますので事前の検査が必要です。詳細は当院にお尋ねください。